スタッフブログ,補聴器について

補聴器の相談に来店する方は、様々な希望や不安を抱えています。

何に困っていて、どの様に補聴器の使用を決めたのかレポート形式にまとめてみました。

補聴器選びの参考にしていただけたらと思います。

 補聴器相談記録 事例.3 80代 男性 Oさんの場合

お耳の状況

他社で購入したカナルタイプ(耳穴型補聴器)を右耳に使用していたが、最近良く聞こえない。補聴器を使用していても相手が何を言っているのか解らないことが多々ある。

 

相談内容

 

初来店の際に「他で買った補聴器だけれども診てもらえるだろうか?」と聞かれました。使用中の補聴器は当店で扱いのあるメーカーでしたのでお話を伺うと、購入してから10年位は経っているそうです。

購入したお店では随分前に買い替えを勧められていましたが、今までなんとか使ってきたそうです。

 

初回の相談

 音を聞いてみましたが音がしっかりと出ていません、隙間があるようなスカスカとした音になっています。まずはクリーニングを行いましたが音量は上がっていません、汚れが原因の音弱ではないようです。パソコンにつなぎ調整の状態を確認してみると問題が……表示されている音量が補聴器から出ていません。恐らく経年劣化により内部部品の性能が低下しています。

ここで今のお耳の状態を確認するため、聴力測定を行いました。結果は右のグラフの通り。

左耳の聞こえはかなり悪く、言葉の聞き取りも低下していました。右耳についても使用中の補聴器の中に保存されている聴力と比べると随分と下がってしまっています。

実は地方で購入したそうで、札幌に移ってからメンテナンスや調整をしていなかったそうです。

お店の耳掛け型補聴器を今の聴力に合わせて調整し、試しに聞いてもらうと音の大きさも言葉の明瞭さも大幅に向上しました。

「この補聴器は10年経過しているそうですが、中の部品の性能が低下しています。この補聴器を作ったときよりも聴力も下がってしまっているようなので、今の聴力に合わせて必要な音量の出る補聴器を作りませんか?」と聞いてみました。

Oさんもそろそろ新しい補聴器を作らなければならないと覚悟はしていたようです。「いくら位でできるだろうか?」と話がすすみます。

左耳は聴力も聞き取る力も下がっていることから、補聴器は右耳だけで使うのが適切だと思われます。人数の多い場所や賑やかな場所にはあまり出かけないということと、取扱いは今まで通りが良いという要望で、最新のシリーズの中でご予算に合う機種を今と同じカナルタイプ(耳穴型補聴器)で作成することになりました。

Oさんは即断即決する方のようで、補聴器を作ると決めると「新しく作るからには早く欲しい」とそのまま耳型を採取し納品日を2週間後に設定します。

 

2回目の相談       

Oさん用の補聴器納品の日です。経験者ですので調整は最初からしっかり音を入れた調整を行っています。形状も変わっていませんので電池の出し入れも耳への装用も問題なく直ぐにできます。今まで音が足りない状態の使用していたため、うるさく感じるのではと心配していましましたが、耳に入れた時点で「音が太くなって言葉の端々まで聞こえている感じがする」と言っていただきました。

次回の点検を2週間後に設定、生活の中で使って音量や音質で気になるところがあれば教えて下さいとお願いしました。

 

3回目の相談

納品後、初めての点検です補聴器の記録を確認すると、1日平均時10時間30分位使っています。日中はほぼ付けたままで前の補聴器に比べると音は大きく感じるが、うるさいとは思わない、この位しっかり聞こえた方が良いそうです。

防音室で補聴器の効果を測定すると十分に聞こえの改善が確認できましたので、この調整で使っていただくことになりました。

10年も経てば耳も悪くなるし、補聴器も悪くなるよね、新しい機械はやっぱり聞こえる」とおっしゃっていました。

 

最後に

通常、補聴器の寿命は5年が目安とされています。5年経つと使えなくなる訳ではなく、大切に使って6年・7年と使っている方もいらっしゃいます。

それでも、新しい補聴器の性能は年々向上し、使用中の補聴器の性能は徐々に下がっていきます。比べてしまうと音質の差を感じてしまうでしょう。

特にOさんの場合は10年近く使い続けており、札幌に引っ越してきてからはメンテナンスも受けいませんでした。

聞こえるために、必要な音が出ていませんでしたので補聴器としては限界でした。

補聴器は生活に密着して使う機器です。耳の中という厳しい環境の中で、毎日休むことなく、長時間働き続けます。長く使うためには定期的にメンテナンスを受けることをお勧めいたします。